“編集権”が個人へ移行する時代におけるものづくり

Pinterest、話題ですね。

ある程度やってみましたが、だんだん楽しくなってきました。だらだら眺めるよりもPinしてコレクションしてくほうが私には性に合っている気がします。さて、このPinterestを楽しみながら、ふと最近テレビ絡みの仕事をしながら考えていた”編集権の移行”という点でシンクロしたので、なんとなく考えていることを書いてみました。結果、佐々木俊尚さんの言う「キュレーション」的な話であり、業界人にとってはある種当たり前の話なんですが、あくまで頭の整理として。

 

Contents is King

時代は移り変わる。万物は流転する。メディアのあり方も変わる。

メディアという切り口で歴史をひもとくと、紙という物理レイヤーに対してサービスレイヤーの新聞・雑誌があり、電波という物理レイヤーに対してサービスレイヤーのテレビ・ラジオがあり、そして今インターネットという物理レイヤーにおいては多種多様なサービスが登場しています。ただし、時代や技術が変わろうとも、変わらない概念として存在し続けるのが「Contents is King」ということ。それが文章なのか、写真なのか、音楽なのか、映像なのか、それは様々ですが、この概念はある程度普遍的なものであると思います。例えば今、テレビの凋落が叫ばれていますが、テレビ局の持つ電波という既得権によって作り上げた垂直統合のコンテンツ制作、共有能力(特に日本の場合)は、一般な消費者にとってはまだまだ強力なContents Generatorであり続けると思います。ただ、時代は変わっても、技術は進化しても人々はContentsを消費し、そこから発生する人と人とのコミュニケーションが人の営みのベースを形づくっていきます。紙や電波やネットというのは単なる技術でありツールであって、本質的な問いは「どんなコンテンツを誰に?」です。ただし、インターネットという革新的な技術とソーシャルメディアの台頭によってその”流通”に関して大きな変化が起こっています。

 

Contentsが人を介して伝播する

「Contents is King」という普遍的な概念に対して、インターネットの登場とソーシャルメディアの台頭によってContentsの流通のあり方は大きく変わりつつあります。例えばこちらの動画。強力なContents Generatorであるテレビ番組のワンコーナー。

今年の1月2日放送の大型特番だったにも関わらず、番組自体の視聴率はふるわなかったみたいですね。しかし実際に観てみると面白い。面白いから誰かに共有したくなります。共有すると様々なリアクションが返ってきて、口コミでさらに広がっていきます。今、この文脈が成り立っているのは、この動画がContentsとして有意義なものだからであり、かつfacebookやtwitterといった人を介してContentsが伝播するインターネット上のプラットフォームがあるからです。実際、このyoutubeに上げられた動画だけでも現在約800,000回再生されています。海外でも話題になっているみたいですね。すべてユニークカウントとして、テレビの視聴率1%で約18万人が視聴していることを考えると、インターネットとソーシャルメディアによって約4.5%の視聴率が後から積上った計算になります。今までであれば共通のインフラ=メディア(媒介)に乗って一義的な文脈をもってユーザーにリーチできていたものが、インターネットというインフラによって媒介がそれぞれの文脈を伴った個人へと移り変わっていきます。つまり、良いコンテンツは伝播する。そして、それはより人(=インターネット)を介して広がっていくようになります。もちろん逆もしかりです。そうすると、「Contents is King」という概念は変わらなくとも、その流通に関して「個人」が大きな力を持つようになります。 

 

編成権はより”身近な個人”へ

その結果何が起こるかというと、「Contents」を良い悪いと評価するのがより「個人」に紐づいたものになり、一義的なの文脈ではなくそれぞれの価値観や趣味趣向に沿った文脈を持った形で伝播していきます。それも、今までのような口コミサイトのような結果民主主義的なものではなく(もちろん直近のステマ騒動で明らかになった構造的な問題もふまえて)より自分も含めた身近な人が「Contents」の媒介者となり、自己の価値判断によって「Contents」は流通していくでしょう。こういった変化によって、マスメディアを例にとるとContentsとユーザーの間に位置した”編成”という部分はよりユーザーである個人に移っていきます。こういった”個人への編成権の移行”は、もちろん既に様々なサービスによって浮き彫りになってきています。

 

Contents編成権の移行を象徴するサービス

■TV Guide

マスメディアであるテレビにおいてものすごい分かりやすい例でいうとUSのTV Guide.com。ご存知テレビをベースとした情報紙であり情報サイトですが、今力を入れているのがモバイルデバイスを活用したソーシャル視聴体験。Webサイトはもちろん、モバイル専用アプリは500万ダウンロードを突破し、中でも特徴的なのが「Watchlist」という機能。特定の番組やタレント名で検索ができたり、お気に入りの番組を登録してそのリストをソーシャルに共有できます。パーソナルでソーシャルな新しい形のテレビ番組表ですね。こういったアプローチはテレビ側の編成権がインターネットとソーシャルの概念によって個人へ移行していくという分かりやすい例だと思います。自分と趣味趣向が合う友達の番組表はきっと参考になるでしょう。そして同じContentsを共有することによってコミュニケーションが生まれます(本当はここが大事で、Contents is KingよりもCommunication is Kingだと思うのですが)。この辺を詳しく観たい人は昨年のMashable Media SummitでのTV GuideバイスプレジデントChristy Tannerのプレゼンは必見です。ただし、テレビに関しては「テレプレゼンス」という新しい概念の視聴スタイルによって、テレビ局が編成する番組を様々な形で(主にセカンドスクリーンになるとは思うのですが)リアルタイムでみんなで楽しむという形が台頭してくると思っています。こちらに関してはまた別の機会にブログに書きます。

■GetGlue

 ご存知の方も多いと思うので説明を省きますが、現在月間のチェックイン数は2000万。月に2000万回、ユーザーがGetGlueを使って自分の趣味趣向をアピールしていることとなります、これは本当にすごいことです。それらの多くはソーシャルネットワークを使って伝播され、都度周りのユーザーへのContents消費に影響を与えています。最近$12Mのファンディングにも成功し、今年を振り返った時に最もブレイクしたサービスになるんではないかと思います。

■Pinterest

ホットな所でいうとPinterestですね。これは雑誌の代替に近いとも思います。前述のサービス同様、趣味趣向がはっきりしている人向けですが、だらだら眺めているだけでも楽しいし、UIが非常に良くできてますね。また、キュレーションする側は「like」「follow」といった定番のモチベーションインセンティブループによって固められているため、いわゆるハマる仕掛けが良くできていると思います。本サービスがブレイクによって写真や動画といったContentsはさらに人をベースに伝播されていくことでしょう。

もちろん、他にも色々ありますが、長くなるので割愛。

 

インタレストグラフ再考

「Contents」はそれを摂取する人の趣味趣向を反映します。それがマスメディアによる一方的な発信から、より自己の判断によって人をベースとした流通によってその傾向はより顕著になって行くでしょう。インターネットとソーシャルメディアによって人を介してContentsが流通すると膨大な興味関心による人のつながり、ご存知「インタレストグラフ」が形成されます。この興味関心にひもづくインタレストグラフと、従来のソーシャルグラフという概念の決定的な違いのひとつであり、最も重要な違いは、それがビジネスに結びつきやすいか否かです。例えば旅行を軸としたインタレストグラフは旅行会社はのどから手がでるほど欲しい顧客データであり、流通プラットフォームでしょう。またTV Guideの例でいうと、前述したWatchlistの登録ユーザーは400万人だそうです。400万人の趣味趣向が反映された番組リストと、それぞれ人を軸とした流通プラットフォームを握っているわけです。既に60以上のスポンサーがついているのは当然といえば当然ですね。したがって、コンテンツレイヤー、Webサービスレイヤーにおいて上記文脈に沿ったものづくりというのが、あらためてものすごくビジネスチャンスだと思います。インタレストグラフという概念は昨年から盛り上がっていますが、より実サービスとしてビジネスになっていくのが今年になるのでしょうかね。色々頭をひねってみたいと思います。

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