写真・ビデオ共有アプリ「Path」のバージョンアップがすごい5つの理由

クローズドな写真・ビデオ共有アプリの「Path」が11月30日にメジャーアップデートをしました。もし「Path」を知らない方がいたら、先ずはこちらのプロモーション動画を。

 

 

1分少々の動画ですが、このサービスが実現したい世界観が本当に良く伝わります。「Path」は家族や親しい友人に写真や動画をでその「瞬間(moment)」を共有できるアプリです。あえて共有できる最大の人数を50人と制限し、かつすべての投稿においてきめ細かく誰に共有するかも選ぶことができます。本アプリがリリースされた時期的に対して先行していた写真共有アプリ「Instagram」のオープンな思想に対して真逆のアプローチと、何より「デザイン力」の高さが話題になりました。

そんな「Path」が今回初のメジャーアップデート。彼ら曰く「Path2」は、むしろ「Pivot」とも言って良いそのバージョンアップ内容と、デザイン・UIに関してはスマートフォンアプリの最先端を行く彼らがまた我々の想像の範囲を上回るRedesignを見せてくれました。また、ユーザー数も今回のリリースを見ると100万人近くまで増えてきたみたいですね。もっと日本でも話題になって良いのですが、海外のメディアに比べて日本ではあまり…ですね。なのであらためて、ポイントをまとめてこちらで紹介したいと思います。

 

1.Facebook追従を思わせるコンセプトの変更

大きなPivotといえるのがコンセプトの変更です。「親密な人に瞬間を共有する」というベースの思想はそのままに、共有できる情報(or メディア)が「写真/動画」だけではなく、「who you are with (誰といるのか)」「where you are (どこにいるのか)」「what you are listening to (何を聴いているのか)」「what you are thinking (何を考えているのか)」「you go to bed and wake up (寝たのか起きたのか)」という6つの”moment”に拡張されました。そこで彼らが新たに打ち出したコンセプトが「Smart Journal」、なじみのワードでいうと「自分史」「ライフログ」ですかね。新たな「Path」はそれぞれのユーザーのありとあらゆる”moment”を切り取って「自分史」を構築するのを役立る、というわけです。これはまさに今年Facebookがあらたに打ち出した「Timeline」の概念と同じ方向へのシフトですね。

ただ、前回のエントリーでも書いた通り、それが「モバイルベースか否か」で今後のプラットフォームとしての展開には大きな影響があると考えます。彼らはしっかりそこを意識していて、元Facebook、CEOのDave Morinはこう言っています。

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We believe in the mobile phone as a very personal device.There’s been an explosion of personal data — what you eat, where you go, who you’re with — that have come with these devices that are always with us, always in our pocke.

つまり、「自分史」を作る上でモバイル以上に最適なデバイスは無いということです。そのすべてがモバイルデバイスでの体験をベースとした、生活に寄り添った形でデザインされているのがFacebookにはできない「Path」の強みだと思います。


2.モバイル”自分史”に最適化された極上のデザイン

その強みをエンパワーするのが圧倒的なデザイン力です。ここで言っているのは意匠としてのデザインではなく、このアプリを使って得られる”体験”や機能を実現する上での”発想”も含めた広義な意味での「デザイン」。オリジナルのPathでもタブバーのデザインや写真表示のギミックなど、洗練されたスマートフォンアプリのトレンドセッターとなっている感はありましたが、今回のデザインもまた新たな世界観を見せつけてくれています。これはもう、使ってもらうしかないのですが細かいギミック含めて、「生活のあらゆるmomentを手軽に残す、共有する」「そうして残して共有した情報が洗練された”自分史”として構築されていく」というのが直感的に理解できます。これは「デザインの力」としか言いようがありませんね。

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自分史のページである「Path」

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なんとタブバーを排除し、新たなギミックとして「Chooser」というボタンを右下に配置。このボタンをタップすると前述の6つのmomentを共有するためのボタンがシュルっと表示されます。圧巻。

また、facebookをトレースしたと思わせるものも多く、特に先日こちらもようやくメジャーアップデートしたfacebookアプリの「スライドメニュービュー」を左右に搭載し、かつTimelineのひとつの大きなアイコンである「カバー」を採用しています。この「スライドメニュービュー」と「カバー」は2012年のスマートフォンアプリUIのトレンドになると思います。

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3.新たな収益モデルの模索

Instagramをはじめ、多くのユーザー数を誇るスタートアップのスマートフォンサービスにおいても「収益化」に踏み込んでいるサービスはそう多くはありません。大抵のスタートアップは先ずはファンディングをして、とにかくユーザー数を増やすことに注力するといった感じでしょうか。その中で「Path」は比較的早い段階から「写真へのフィルター課金」という収益化への取り組みを行っていました。ユーザー数の伸びから考えてもそれほどの収益にはなっていないことは想像に難くないですが、また新たな取り組みを今回のアップデートで行っています。今回共有できるmometが6つになった訳ですが、その中で今聴いている音楽をシェアすると、それを見たユーザーは楽曲の情報とともに下記のようにiTunesへのリンクが出てきます。ここでのアフィリエイト収入が彼らの新たな収益源となります。ただこちらに関してもアフィリエイトフィーは薄利ではありますが、今後プラットフォームとしてより拡大していけば馬鹿にできない収益になるかもしれません。

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4.バイラルの強化

またInstagramとの比較論になるのですが、Instagramが約1年間で1000万人のユーザーを獲得できたのはその巧みなバイラルの仕組みがあったからです。InstagramのCEO Kevin Systrom曰く、TwitterやFacebookなど多くのプラットフォームに対応して投稿できることを重視して加工した写真はInstagram内のソーシャルグラフだけではなく、積極的に外部のグラフ(プラットフォーム)へも共有するようにデザインしました。結果Instagramから共有された写真を見たユーザーがその写真でInstagramの存在を知り、そのユーザーがInstagramを使うことでまた他のユーザーへ広がっていくという「バイラルループ」を狙ってうまく作り出したと言えます。

一方「Path」はクローズドがコンセプトであったので共有されるメンバーはごく一部に限られ、局所局所では頻繁にコミュニケーションが発生してもそれが外に広がっていかないという構造的な課題を抱えていました。これはクローズドなコミュニケーション系のサービスが背負う性なので、どうしても爆発的に広がるというよりは地味にコツコツ伸びていくケースが多いように思えます。一昔前ならそのスピード感も容認されたかもしれませんが、1分1秒でも早くユーザー数を伸ばしてプラットフォームの覇権争いをしている現状の競争環境においては、ノンビリ待っていては他社に出し抜かれてしまいます。そこで「Path」は今回のアップデートで思い切ってFacebookのみならず、TwitterやFoursquareなどとの連携で完全外部のプラットフォームへもmomentを投稿できるようにしました。また写真や音楽など外部へ共有されたmomentの”ランディングページ”も非常に凝っていて、いわゆるLPO的な概念で外部に共有したmomentを見たユーザーがどれだけPathに興味をもってダウンロードしてもらえるか(conversion)にも注力しているのが垣間見えます。

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それぞれ写真、音楽を外部に共有した場合のランディングページ、凝ってます。

また、共有できる最大人数をシレっと50人から150人に拡大もしたそうです。

 

5.Path.comも静かにシンプルにリニューアル

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アプリのアップデートに伴ってオフィシャルサイト「Path.com」もリニューアルしました。こちらは見てもらった方が早いですね。とてもシンプルですが、ちょっとした驚きもあると思います。こういう見せ方も潔くて良いですね。サイトにも書いてあるのですが彼らの「Our Values」のひとつである「Simple」を体現してます。

 

以上、今回のバージョンアップは本当にスゴいと思いました。「Path」は2012年さらに注目すべきスタートアップのひとつだと思います。「デザイン力」が本当の意味での競争力になる時代突入ですね。

[参考記事]

Path’s Second Iteration Is Less Photosharing And More Everything Sharing | TechCrunch

One Year Later, Path ‘Personal Network’ App Still Brings the Love

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